行政書士の三浦です。私は、日本で数少ないフィリピン専門行政書士として活動しております。
私は、2011年にフィリピン留学を経験し、約1年間フィリピンに滞在する中で、フィリピンの文化や考え方を学びました。
フィリピンの方の陽気な国民性とフレンドリーさが心地よく、フィリピンは、私にとって非常に魅力的な国となりました。
そして、いつかは日本とフィリピンをつなぐ仕事をしたいと考えるようになったことが、現在に繋がっています。
フィリピン滞在後は、見識を広げるために、世界5大陸約30ヵ国への渡航を経て、千葉県に行政書士事務所を設立いたしました。
現在は、来日されたいフィリピンの方やフィリピンの方とご結婚されたい日本人の方のサポートと併せて、フィリピンへご留学されたい日本人の方のサポートをさせていただいております。
こちらの記事では、「フィリピンの方を日本に呼ぶ(招へい)」際の手続きのご案内をさせていただいております。
Contents
フィリピン人の招へいについて
フィリピンの方を招へいされる際には、招へいに関して、十分な知識が必要となります。
申請の概要は、外務省のホームページをご覧いただければ、情報を得ることができます。
しかし、外務省のホームページでは概要のみとなり、「このような申請を行えば、申請が通ります。」というような親切なご案内はございません。
あくまで、必要最低限の提出書類と提出方法のみのご案内となっています。
フィリピン人の方の招へいは、個別に審査されるため、個々のご状況に応じて、追加書類を作成されることや記載内容を考慮されることが重要となります。
フィリピンの方の招へいについての注意点
重複する箇所もございますが、下記、フィリピンの方を招へいされる際の注意点となります。
外務省ホームページでは概要のみしか案内がない
前述の通り、外務省のホームページでは、申請の概要のみしか案内がございません。
外務省としては、不法入国等を避けるため、親切に「申請が通りやすい申請方法」を教えてくれないのです。
これは、外務省や入管等に直接出向いても同様です。
外務省や入管等は、申請人(フィリピンの方)を日本に招へいすることよりも、日本の国益を守ることが最重要だと考えています。
そのため、個別のケースに応じて、「このように申請を行ってはいかがですか?」という案内はなく、追加での必要書類等は申請人及び招へい人が検討しなくてはなりません。
つまり、申請書類作成に際しまして、申請人の状況確認や入管法の知識はもちろん、フィリピンでの各種手続きに関する知識も有している必要がございます。
行政書士や弁護士の意見を求める必要がある
フィリピンの方の短期ビザ取得は、招へい人(日本に呼び寄せる方)の方が申請を行うことができ、行政書士や弁護士等の専門家に必ずご依頼頂かなくてはならないという性質のお手続きではございません。
しかし、可能な限り行政書士や弁護士(一定の研修修了及び届出を行い、入管の許可を得ている行政書士及び弁護士)の意見を求められることをお勧めいたします。
すべての行政書士及び弁護士が当てはまるわけではないので、その点はご注意が必要でございますが、一定の行政書士や弁護士は入管法に精通しており、在留資格の専門家です。
フィリピンの方が日本に入国される際には、何かしらの在留資格を有している必要があり、短期滞在ビザであっても細かな要件が定められています。
仮に、短期ビザで日本に入国され、その後、有効期間を経過して日本に滞在されていた場合又は日本での滞在時に許可された活動以外のことを行っていた場合は、今後日本に入国できなくなる可能性もございます。
そのため、フィリピンの方の立場を不安定にさせないためにも専門家の意見を求められることをお勧めいたします。
また、法人様単位でフィリピンの方を招へいされる場合には、適切な手続きを行わなかった場合には、今後、当該法人様ではフィリピン人の方を招へいできない(許可が出づらくなる)可能性がございますので注意が必要です。
フィリピンの方の申請は難しい
日本に入国される際に、短期ビザを取得される必要がある国籍の方は、フィリピンの方以外にもいらっしゃいますが、フィリピンの方の申請は他国の方と比べて難しいとされています。
フィリピンの方は、不法就労や偽造結婚に手を染めてしまう方が多いためです。
過去にはフィリピンパブなどで大掛かりな不法滞在者の検挙が行われたこともありますし、フィリピンの方の偽装結婚で逮捕者が出たというニュースを目にされる方も少なくないかと思われます。
もちろん、フィリピンの方全員が不法就労や偽造結婚を企んでいるわけではございません。
健全に日本での就労を望まれる方、愛を育まれ日本人とご結婚される方が大半です。
しかし、現状として、フィリピンの方の不法行為は多い傾向にあります。
そのため、日本としては、犯罪やトラブルを助長させるような人物に、入国の許可を与えないよう、非常に慎重に審査を行っています。
つまり、公表されている提出書類を画一的にご用意されるだけでは不十分なことが多く、申請の許可が下りるための必要追加書類を十分検討し、提出される必要がございます。
身元保証人の資力
フィリピンの方を日本に招へいする際、当該フィリピンの方が旅費を全て負担されることは多くありません。
よほどのお金持ちでない限り、日本までの航空券や生活費を、申請人自らがご負担されることは難しいのが現状です。
そのため、多くのケースでは、身元保証人が渡航費用や生活費をご負担されています。
身元保証人とはその名の通り、フィリピンの方の日本での生活を金銭面で保証する人物です。
つまり、申請許可を得るためには、身元保証人の資力が非常に重要となります。
身元保証人になるための明確な年収や貯金額は公表されていないため、個別のケースによって検討が必要となります。
しかし、最低でも年収300万円以上、貯金額も100万円以上は必要になります。
仮に上記金額以下の場合には、追加書類を提出し、現在のご状況を明確にご説明される必要がございます。
関係性が一目でわかるように申請する必要がある
短期ビザの申請の際には、申請人(フィリピンの方)と招へい人(日本に呼ぶ方)の関係性がとても重要となります。
外務省が公表する申請書類一覧にも、「知人関係証明資料」の提出が求められております。
知人関係証明資料とは、写真や手紙、e-Mailなど、関係性が証明できる資料を示します。
プライベートな資料でございますので、ご提出されることに躊躇される方もいらっしゃいますが、知人関係証明資料は双方の関係性が一目でわかる資料なので、必ずご提出されることをお勧めいたします。
通常は写真3枚程度のご提出となりますが、ご状況に応じましては、双方の関係性の明確さを示すために、20枚以上の写真のご提出をご希望される方もいらっしゃいます。
必要以上のご提出は不要ですが、ご状況に応じて、関係性を明確に示すために必要だとご判断された場合には、ご検討いただく必要がございます。
申請者(フィリピンの方)との連携が大切
短期ビザの申請書類には、申請人がご用意いただく書類と招へい人がご用意いただく書類がございます。
公的な機関で取得が必要な書類は、発行から3ヵ月以内のものをご提出される必要があるため、申請人と招へい人双方の書類取得のタイミングをご調整いただく必要がございます。
また、申請書類の提出先は、在フィリピン日本大使館になります。
つまり、フィリピン国内で申請を行わなくてはならないため、申請人が申請の手続き要項を十分に理解している必要がございます。
申請人が日本語を十分に理解できない場合は、招へい人の方は申請要項を英語又はタガログ語で申請人にご説明される必要がございますので、言葉の壁を感じてしまう可能性がございます。
この点、必要に応じて行政書士や弁護士等にご相談ください。
フィリピンの実情に精通している必要がある
前述の通り、申請書類の提出先はフィリピン国内となるため、招へい人の方が日本でご用意いただいた書類を、フィリピン国内の申請人まで送る必要がございます。
申請人自らフィリピンに出向くことも可能でございますが、申請自体は必ず申請人が行う必要がございます。
そのため、ご用意いただいた申請書類をご郵送にて申請人に送る方法が一般的です。
しかし、フィリピンは、日本のように行政機関や郵便インフラが十分に発達しているわけではありません。
そのため、申請までの手続きをスムーズに行えるよう、フィリピンの行政機関や郵便等を含め、フィリピンの実情に精通している必要がございます。
また、フィリピンへのご郵送は、適切な方法で行わなくては、申請書類が途中で紛失してしまう可能性が高くなります。
日本からの郵便は、金目の物が入っているのではないかと、フィリピン国内の配達人が勝手に開けてしまうことが多いためです。
フィリピン自体を批判するつもりはございませんが、申請書類には住民票など、とても大切な書類も含まれているため、十分に注意が必要となります
※当事務所では、追跡可能な郵便局のEMSサービスを利用し、ご郵送させていただいております。
前科等、日本国にとって不利益な過去がある場合
申請者に前科等がある場合には、原則的に日本に入国することができません。
つまり、過去に犯罪や日本にとって不利益な言動があった方は、短期ビザの許可が下りることは難しくなります。
程度の問題もございますので、犯罪や日本にとって不利益な言動があったから100%許可が下りないということではございません。
しかし、入管側は申請者の過去の犯罪等のデータは有していることが多いため、申請時には包み隠さず説明されることが大切です。
つまり、「事実を隠すこと」ではなく、「経緯や事実」を明確に説明し、反省の念を伝えることが大切となります。
大前提として、過去に犯罪や日本にとって不利益な言動があった場合には、短期ビザの許可が下りる可能性は低いですが、許可の可能性を求め申請を行われるのであれば、誠実さを入管に伝えることが最も大切となります。
申請を行っても、100%許可されるわけではない
短期ビザは、適切に申請を行ったとしても許可が下りない可能性がございます。
原則的に許可不許可の判断は、日本国に委ねられており、申請者や招へい人は審査に関与することができません。
これは、行政書士や弁護士の専門家が介入させていただいても同様で、黒を白にはできません。
つまり、申請者の犯罪等の事実を隠し、許可を得るために虚偽の申請を行うということはできないということです。
しかし、行政書士や弁護士にご依頼をいただくことで、許可の確率を上げることは可能です。
申請後、申請先である大使館より追加書類を求められることがございますが、大使館は、申請の許可を申請人に与えるために追加書類を求めているわけではない部分もございます。
現に、必要書類を適切にご提出されたとしても、その後、不許可となることもございます。
つまり、大使館の追加書類の案内は、「許可を与えるため」ではなく、「申請人等の必要なデータを把握する」というニュアンスが強い部分には注意が必要です。
招へい理由書の「招へい目的」欄と「招へい経緯」欄が大事
招へい人がご用意いただく書類(行政書士や弁護士が代筆可能です)に、招へい理由書というものがございます。
招へい理由書には、「招へい目的」欄と「招へい経緯」欄がございます。
規定のフォーマットですと、各2行程度しか記載できるスペースがございません。
「招へい目的」と「招へい経緯」は、許可を得るためにとても重要な箇所なので、別紙にて作成されることをお勧めいたします。
しかし、あまりにもボリュームがありすぎると、審査官の方が状況を把握することが難しくなるため、簡潔かつ明確に記載される必要がございます。
「招へいの目的」と「招へいの経緯」をご検討される際には、少し派生した部分まで記載されることをお勧めいたします。
例えば、申請人が日本でのご結婚手続きのために入国される場合には、これまでの申請人や招へい人の強い想いを記載されたほうが良いということです。
「数年間遠距離恋愛を育んできた…」「数年前から結婚を考えていた…」「お互いの人生にとって相手が必要…」など、少し感情面を記載されることをお勧めいたします。
審査官も人間ですので、誠意と強い想いを表した書類を読んで、心証が悪くなる人はいないためです。
あまりにもドラマチックにされる必要はございませんが、「招へいの目的」と「招へいの経緯」には、「感情面」を記載されるということを少し意識されることが大切です。
※虚偽申請となるため、嘘の記載は絶対に行わないでください。
申請不許可後の再申請について
短期ビザが不許可となった場合、その後、一定期間申請を行うことができなくなります。
しかし、申請が不許可となったということは、何かしらの問題があったということですので、問題点の早期解決が重要になってきます。
問題点を解決できなければ、時間が経過したとしても、許可される可能性が高くなるわけではないためです。
不許可の理由は通知されませんので、初回の申請で許可を得られるよう、十分な申請書類の検討と適切な書類作成が必要となります。
フィリピンの方を招へい(呼ぶ)流れ
フィリピンの方を日本に招へいされる際の、大まかな流れをご紹介いたします。
STEP1 申請人側(フィリピンの方)と招へい人側で、それぞれ申請書類(後述致します)を用意
STEP2 招へい人側が用意した申請書類を申請人に届ける(招へい人が直接フィリピンへ出向くことも可能ですが、一般的には国際郵便にて送ります)。
STEP3 申請人が日本大使館指定のエージェントに申請書類全てを提出します(申請人の方が直接エージェントに出向くor郵送)。
STEP4 追加書類の対応(必要に応じて追加書類を求められる場合があります。申請人に連絡がきます)。
STEP5 申請に問題がない場合、最短1週間程度で許可が下ります。しかし、追加書類を求められた場合や申請内容が不透明だった場合等は、審査に時間がかかる可能性がございます。
STEP6 審査が終了した際には、申請人に連絡が入り、許可の有無が通知されます。許可された場合は、提出した申請人のパスポートに短期ビザの情報(滞在可能日数や入国期限等)が添付され、申請人に返却されます。
STEP7 入国期限内(通常は、ビザ発給から90日以内)に日本に入国する必要があります。
以上が大まかな短期ビザ取得までの流れとなります。
申請書類について
申請書類は、フィリピンの方の入国目的によって、多少異なります。
入国目的は、「親族訪問」「知人訪問・観光」「短期商用等」に分かれており、必要書類は下記となります。
こちらは、外務省が公表している申請に必要な書類となります。
ご注意いただきたいのは、公表されている上記申請書類は、あくまで最低限のものであり、個々のケースに応じまして追加で書類をご提出される必要がございます。
もちろん、申請自体は公表されている書類のみで行うことができますが、許可の確率を上げるためには追加書類を検討される等の戦略的な申請が必要となります。
例えば、身元保証人の資力(貯金額等)が少ない場合は、その理由を示した書類を作成することや毎月一定の収入があることを証明する書類を用意されるなどの対応が必要となります。
当事務所では、ご依頼者様のご状況とご意向をお聞きしながら、追加必要書類のご提案をさせていただいております。
ご質問の多い申請書類について
当行政書士事務所に、多くご質問をいただく申請書類についてご説明いたします。
ビザ申請書
ビザ申請書は、申請人の方が作成します。記載内容自体は難しくなく、申請人の方及び招へい人の方の情報を正確にご記載されれば問題ございません。
しかし、フィリピンと日本の書類の取り扱いについての、認識の違いについては注意が必要です。
日本では、書類の訂正を行う場合は、二重線を引き訂正印を押すことが一般的です。また、必要に応じて書き直すことを選択される方も多いかと思われます。
しかし、フィリピンの方は、記載ミスがあった場合に、「黒く塗りつぶす」「適当にぐるぐると線を引く」というような対応をされる方を多くお見受けします。
フィリピン国内では、上記のような対応でも問題ないのかもしれませんが、申請書類は日本大使館に提出します。
そのため、申請人の方が「黒く塗りつぶす」「適当にぐるぐると線を引く」というような対応をされていらっしゃる場合、審査官の心証が悪くなることは想像に難しくないかと思われます。
そのため、招へい人の方は、申請人の方の書類も十分チェックし、不備等がないかを申請前にご確認される必要がございます。
出生証明書
出生証明書は、PSA(国家統計局本部)が発効した書類である必要があります。
PSAは、フィリピンの出生及び婚姻、死亡についてを管理する機関となります。
出生証明書は、日本での戸籍謄本(抄本)に近しい書類とご認識いただいて問題ないかと思われます。
そのため、申請人の方に、「出生証明書を取得して」とお伝えいただければ、すぐにご理解頂けることが大半です。
仮に、申請人が取得方法等をわからないという場合は、下記、PSAのホームページをご案内いただけたらと思います。
https://www.psaserbilis.com.ph/Default.aspx
婚姻証明書
申請者がご結婚されている場合は、婚姻証明書を提出される必要がございます。
婚姻証明書もPSA発効のものが必要です。
婚姻証明書も申請人の方に取得の必要性をお伝えいただければ、取得方法がわからないということはないかと思われますが、仮に申請人がわからない場合は、上記PSAホームページをご案内いただけたらと思います。
知人関係証明資料
知人関係証明資料とは、写真や手紙、e-Mailなどになります。
「知人関係証明資料とは、どのような書類ですか?」と、多くのご質問をいただきますが、明確なものはございません。
申請人と招へい人の関係性が外観的に認識される資料である必要がございますので、お付き合いされていらっしゃる方の場合は、ツーショット写真や家族写真等を提出される必要がございます。
また、招へい人が過去に、申請人に会うためにフィリピンへ渡航した経験がある場合は、パスポートの出国入国スタンプ欄のコピーをご提出されることをお勧めします。
知人関係証明資料をご用意いただくのは大変な作業となりますが、審査において、とても重要でございますので、可能な限りご用意いただくことをお勧めいたします。
滞在予定表
滞在予定表は、申請人の方の日本での行動予定を記載するものです。
滞在予定表の記載方法で多くご質問いただく内容といたしましては、「特に具体的な予定はないのですが…」というものです。
観光や知人を訪問される際に、毎日の予定の詳細まで決めていらっしゃらないという方が大半かと思われます。
しかし、滞在予定表には、滞在期間中すべての日の予定を記載しなくてはなりません。
例えば、特にご予定がない日であっても、「招へい人宅で家事手伝い」「自宅周辺でショッピング」等、可能な限り具体的に記載されることが重要です。
滞在中に予定が変更になる可能性はもちろんあるかと思われますが、滞在予定表作成時点でのご予定を、可能な限り詳細にご記載いただくことが大切です。
住民票
上記必要書類の一覧にも記載がございますが、ご質問が多い箇所のため、ご説明いたします。
住民票は、
・世帯全員の続柄が記載されているもの
・発効から3ヵ月以内のもの
である必要がございます。
また、一覧での説明が分かりづらいのですが、「マイナンバー(個人番号)」と「住民票コード」は、省略されているもので問題ございません。
身元保証書
身元保証書とは、身元保証人の情報を記載する書類となります。
身元保証人とは、申請人の「滞在費」「帰国旅費」「法令の遵守」を保証する人物であり、申請人の日本滞在費用を保証(支払う)する人物です。
身元保証人と招へい人は、同一人物であるケースが大半ですが、招へい人に資力がない場合には、資力を有している身元保証人を別途つける場合がございます。
身元保証人による渡航費用支弁能力の証明に係わる次の3種類の書類のいずれか1点以上
1「課税(所得)証明書」(市区町村役場発行)又は「納税証明書(様式その2)」(税務署発行)
2「確定申告書控の写し」
3「預金残高証明書」
のいずれか一点以上を提出される必要がございます。
個々のご状況に応じまして提出される書類をご検討される必要がございます。
例えば、身元保証人の方が前年にお仕事をされていらっしゃらない場合は、「課税(所得)証明書」又は「納税証明書(様式その2)」をご提出されてしまうと、ご収入がなかったことを証明してしまうことになります。
そのため、上記の場合には、銀行発行の「預金残高証明書」を取得し、提出される必要がございます。
一方、身元保証人の方が、高収入だが預金額が少ない場合は、「預金残高証明書」ではなく、「課税(所得)証明書」「納税証明書(様式その2)」「確定申告書控の写し」のいずれかをご提出されることが最善となります。
ご状況に応じて、ご検討いただくことが大切です。
申請人名簿
複数人の申請人を招へいされる場合は、申請人名簿を作成される必要がございます。
記載内容自体は、難しいものではございませんが、申請人名簿の作成自体を怠ってしまう方が多いようです。
申請人名簿を提出されなかった場合でも、追加で提出を行えば手続き的には問題ございませんが、やはり審査官の心証は良くないので忘れずに作成されることが大切です。
フィリピン短期ビザの希望日数について
フィリピン短期ビザは、原則的に15日・30日・90日の3種類により発給されます。
「日数を短く希望したほうが許可が下りやすい」「観光で90日の申請は現実的ではない」というような意見もあるようですが、これは的を得ていません。
もちろん、当初より滞在予定が一週間程度であれば、無理に90日間の許可を希望される必要はないかと思われます。
しかし、90日の許可をご希望されていらっしゃる場合は、90日を希望されていることを申請書にて明確に伝えることが重要です。
短い滞在日数を希望=許可が下りやすくなる
ということではなく、申請において重要なことは、当該希望日数が必要な理由を、明確に説明できるかということに焦点がございます。
そのため、希望されるのであれば、滞在の理由は必要となりますが、最長の90日間にて申請されることをお勧めいたします。
※90日をご希望されていても、結果的に不許可になることや15日・30日の許可が下りることもございます。
フィリピン短期ビザの延長について
フィリピン短期ビザの延長は、原則的に認められていません。
そのため、許可された15日・30日・90日のいずれかの期間内に、日本を出国しなくてはなりません。
しかし、「人道上の真にやむを得ない事情」「左記に相当する特別な事情」がある場合には、特別に許可されることになっています。
「人道上の真にやむを得ない事情」とは、病気及び怪我の治療の場合など、日本滞在を許可すべき理由がある場合を示します。
そのため、通常考えられる状況であれば、短期ビザの延長は原則的に認められません。
また、短期ビザの有効期限を経過したにも関わらず、継続して日本に滞在している場合には、オーバーステイ(不法滞在)となります。
状況によりましては、招へい人や身元保証人の責任問題に発展することもございますので、十分な注意が必要となります。
短期ビザでの就労について
フィリピンの方に限らず、短期ビザでは就労することができません。
短期ビザでは、商用で来日し会議に参加することは可能ですが、直接報酬が発生するような活動をすることは違法となります。
当行政書士事務所には、「短期ビザで就労する方法はありませんか?」というご質問を多くいただきますが、短期ビザでの就労は全て違法となるため、絶対に行わないことをご案内させていただいております。
確かに、日本で就労することができれば、フィリピンの家族に経済的な恩恵を与えられると考えられることは理解できます。
しかし、短期ビザでの就労は認められておらず、処罰の対象になることをご認識いただくことが大切です。
また、招へい人が協力して、日本での就労を助長した場合は、「不法就労助長罪」に問われてしまう可能性がございます。
不法就労助長罪は、3年以下の懲役・300万円以下の罰金を科せられる可能性がありますので、短期ビザで入国される方の就労を助長される行為は行わないようお願いします。
日本国査証(ビザ)の見方
短期ビザの許可が下りると、パスポートに査証(ビザ)が添付されます。査証(ビザ)の記載内容について1つずつご説明していきます。
Place of issue
Place of issueは、発給地を示しています。在フィリピン日本大使館は、マニラに所在地があるため、通常は「MANILA」と記載されています。
Date of issue
Date of issueは、発給日を示しています。「19 MAR 25」と記載がある場合には、2025年3月19日に発給されたことを示しています。
Date of expiry
Date of expiryは、ビザの有効期限を示しています。Date of expiryはとても重要ですので、必ずご確認ください。Date of expiryには通常、Date of issueの3ヵ月後が示されています。Date of issueに「19 MAR 25」と記載がある場合は、通常「19 JUN 25」と記載があり、2025年6月19日と記載されています。
注意点といたしましては、2025年6月19日は短期ビザの期限ではなく、日本入国の期限である点です。つまり、2025年6月19日までに日本に入国すれば、入国日から滞在可能期間(後述致します)を滞在できるという意味になります。
Date of expiryを直訳すると有効期限となるため、短期ビザ自体の有効期限だと勘違いしてしまい、焦って入国の準備を進める方も多いですが、「短期ビザ自体の期限」ではなく、「日本入国の期限」である点に注意が必要です。
No.of entries
No.of entriesは、入国可能回数を示しています。
「SINGLE」と表示されていれば、1回のみ日本に入国することが可能です。「DOUBLE」の場合は、2回。「MULTIPLE」の場合は、複数回の入国が可能です。
しかし、「DOUBLE」及び「MULTIPLE」は、ビジネスマンや富裕層に発給されるビザという意味合いが強く、観光で訪れる方の場合には、通常は「SINGLE」と記載されています。
For stay(s) of(滞在可能期間)
こちらには、「何日間、日本に滞在することができるか」が示されています。
短期ビザは、原則的に15日間、30日間、90日間にて許可されるため、いずれかの日数が記載されています。
90日で申請を行っても、30日や15日で許可が下りることもございますので、こちらの記載は必ず確認が必要です。
可能滞在日数を経過して日本に滞在してしまうと、不法滞在に問われる可能性がありますので注意が必要です。
Category(ビザの種類)
カテゴリーは、ビザの種類を示しています。
通常、短期滞在ビザの場合には、「(V) AS TEMPORARY VISITOR」と記載されます。
Surname/Given name(申請人の氏名)
Surname/Given nameは、申請人(来日される外国の方)の氏名が記載されています。
Passport No.(パスポート番号)
申請人(来日される外国の方)のパスポート番号が記載されています。
Sex(性別)
申請人(来日される外国の方)の性別が記載されています。
Date of birth(生年月日)
申請人(来日される外国の方)の生年月日が記載されています。
Nationality(国籍)
申請人(来日される外国の方)の国籍が記載されています。
ご案内
行政書士三浦国際事務所では、フィリピンの方の招へいをご希望される方をご案内させていただいております。
申請に際しての全てのお手続きは、オンライン及びご郵送で完了いたしますので、全国のご依頼者様にご対応可能でございます。
短期ビザの申請は、行政書士や弁護士を介せず、招へい人の方自身で行うことができますが、申請ミスがあった場合や申請内容が不透明な場合等には、不許可となるだけでなく、その後、一定期間申請自体を行うことができなくなる点には注意が必要となります。
短期ビザの規定申請書類をご用意いただくこと自体は難しくありません。
そのため、費用面を勘案いたしますと、招へい人自らお手配されることや格安のエージェントさんを通されることも、方法のひとつかと思われます。
しかし、追加書類の検討や入国後のサポートなど、行政書士や弁護士のみしかご案内できないことがございます。
追加書類の検討や入国後のサポートは入管法に精通していなくては難しいだけでなく、仮に不法(虚偽申請と疑われるような)申請と判断された場合や不法滞在と判断されてしまった場合は、取り返しのつかない事態に陥ってしまう可能性がございます。
現在、入管法が改正され、外国人の方が多く流入する中で、非常に審査や取り決めが厳しくなっています。
そのため、申請人及び招へい人の方が安心してご入国できるよう、ご状況に応じて、手配方法をご判断いただけますと幸いでございます。
短期ビザの申請に関しまして、ご不安点や疑問点がございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
三浦哲郎(フィリピン専門行政書士)
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